結論:二次面接の後から始まった脅しと取引は、最終面接、そして内定獲得の瞬間まで、逃げ場のない形で続いていった。
人事部長は合否や写真を材料にして接触を重ね、就活生の立場を利用して関係を支配していた。
もし同じ状況に置かれたら、ひとりで抱え込まず、証拠を残して第三者や公的窓口に相談する行動が最優先になる。
この記事でわかること
- 二次面接後に何が起き、どう追い詰められていったのか
- 内定と引き換えにどんな関係を強いられたのか
- 就活中の脅しや性的要求にどう備えるべきか
就活の場で起きた脅迫と支配の流れを、時系列で整理して読めます。
| 場面 | 起きたこと | 主人公の心理 |
|---|---|---|
| 二次面接後 | 自宅で泣き、翌日に気持ちを立て直す | 絶望と諦めのあいだで揺れる |
| 電話連絡 | 人事部長から個人携帯に連絡が入る | 不安と警戒が一気に高まる |
| ラブホテル | 面接対策を口実に連れ出される | 内定への執着で断り切れない |
| 性行為の強要 | 脅しと条件提示で関係を押し進められる | 恐怖、羞恥、わずかな快感が混ざる |
| 最終局面 | 内定の連絡と、その後も続く関係が示される | 安堵と後味の悪さが同時に残る |
再び鳴った電話
二次面接が終わって家に戻ったあと、私はしばらく動けなかった。ひとり暮らしの部屋は静かで、その静けさがかえって胸に刺さる。涙は勝手にあふれてきて、止めようとしても止まらなかった。
それでも、朝になれば少しだけ気持ちは落ち着いた。終わったことを悔やんでも仕方がない。今さら過去は変えられないのだから、最終面接だけでも何とか乗り切って、内定をつかむしかない。そう自分に言い聞かせ、私は無理やり前を向こうとしていた。
大学の授業を終えて部屋に戻ったころ、携帯が鳴った。画面には見覚えのない090から始まる番号が表示されている。普段なら出ない。けれど就活の時期だったので、企業からの連絡かもしれないと思い、私は通話ボタンを押した。
受話口の向こうから聞こえてきたのは、妙に親しげな声だった。
「菜穂ちゃーん? 元気かな?」
一瞬、誰だか分からなかった。けれどすぐに、あの人事部長だと気づいて背筋が冷たくなった。二次面接に受かったこと、そして最終面接の日程を伝えるためだと言う。けれど声色は、会社の電話というより、どこか個人的な距離の近さを含んでいた。
「最終面接に向けて、一緒に準備しようよ。今度の土曜日、会えるよね?」
私は唇を噛んだ。もうやめてください、と絞り出すように言うのがやっとだった。前にされたことを誰にも言わないから許してほしい、そう続けると、相手は笑うような息を漏らした。
「最終面接に進む人数って、採用予定の五倍くらいなんだよ。だから落ちる可能性のほうが高い。でも、俺が協力すれば内定を出してあげられる」
本当に倍率がどれほどだったのか、今でも分からない。ただ、その会社が最終面接でもかなり絞るという噂は、私も見聞きしていた。内定が欲しかった。どうしても欲しかった。しかも、すでに一度、境界線を越えさせられている。その事実が、次の誘いを断る力を少しだけ奪っていた。
私は震える声で、分かりました、と答えてしまった。土曜日の十八時、JR新宿駅中央東口改札で待ち合わせることになった。
電話を切ったあと、私はしばらくスマホを握ったまま動けなかった。あの辺りにはラブホテルが多い。行き先は、考えなくても想像できる。けれど、前回のように口で済ませて、せめて挿入だけは避けたい。そんな、ぎりぎりの逃げ道を頭の中で必死に探していた。
新宿での待ち合わせ
当日、集合場所に行くと人事部長はもうそこにいた。私は相変わらずリクルートスーツ姿だったが、相手はポロシャツにチノパンという、やや崩した私服だった。仕事帰りの上司というより、休日に待ち合わせをしている男に見えた。
「今日もスーツなんだね」
「面接対策で会うわけですから」
そう返すと、相手は少し笑った。
「これからどこに行くと思う?」
私は答えなかった。分からないふりをするしかなかったのに、心の中ではもう答えが出ていた。案の定、向かった先はラブホテル街だった。
「このホテルにしようか。こういう場所が何をするところか、知ってる?」
知らないわけがない。けれど口にするのも嫌で、私は黙ったままついていった。相手はそれを承知しているように、わざとらしく楽しそうな声で言う。
「エッチなことをする場所だよ。菜穂ちゃんとエッチするの、楽しみだなぁ」
腰に手を回され、そのままホテルの中へ入っていく。部屋はパネルで選ぶ形式だったが、彼は一番高い部屋を迷いなく押した。以前、交際していた人と来たときは、いつも安い部屋ばかりだった。だからこそ、こういう豪奢な部屋に入るのは初めてで、妙に現実感がなかった。部長クラスは金があるのだと、嫌でも思わされた。
靴を脱いだ瞬間、後ろから抱きしめられた。耳に息を吹きかけるような近さで、胸や太ももに手が伸びてくる。私は、内定は出るのかと確認した。相手は、今日満足させてくれたら出せる、とだけ言った。
最終面接は副社長が担当だと聞いていたので、本当に約束できるのかと尋ねると、部長は副社長と仲がいいから問題ないと言い切った。そして、前回撮った写真と動画を消してほしいと頼むと、返事は曖昧だった。今日の出来次第だ、と濁される。
そのままベッドに押し倒され、キスをされた。最初は触れるだけだった唇が、次第に深くなっていく。私は舌を引こうとしたが、相手は容赦なく口の中を探ってきた。息苦しさと羞恥で、頭がぼんやりしていく。
上着を脱がされ、ブラウスをはだけられ、ストッキングまで外される。太ももを撫でられながら、相手は露骨に楽しげだった。前回は胸だけだった、と言いながら、今度はもっと踏み込むような口ぶりになる。私は何も返せなかった。
あそこを見られるのは避けられない、そう思っていた。けれど、挿入だけは嫌だった。だから、手や口で早く終わらせてしまおうと考えた。射精さえしてしまえば、男性の欲は弱まるはずだ。そんな、どこか不確かな知識にすがっていた。
胸を揉まれ、吸われ、ショーツ越しに敏感な場所を刺激される。ディープキスも重なって、感覚だけがどんどん濃くなる。そろそろ裸になろうかと言われたので、私はシャワーを先に浴びたいと頼んだ。相手はしぶしぶ承知した。
前回は洗っていない相手に口を使った。だから、少しでも抵抗が減るなら、洗った直後のほうがましだと思ったのだ。人事部長がバスローブ姿で戻ってきたあと、今度は私が浴室へ向かった。
ひとりになれる空間に入ると、ほんの少しだけ息が整った。けれど、これから何をされるのかを考えると、不安は消えない。シャワーを終えてタオルを取ろうとドアを開けると、そこに相手が立っていた。
濡れたままの腰を抱かれ、引き寄せられる。キスのあと、顔が首筋から胸、そしてお腹へとゆっくり下がっていく。最後に動きが止まったのは、私の下半身のすぐ前だった。息が当たり、私は硬直した。
「ずっと見たかったんだよ」
そう言ってから、指先が何度もそこをなぞる。続いて舌が触れた。慣れない刺激に、体がこわばる。以前に何度かされたことはあったが、安心できる相手ではなかった。だからこそ、怖さのほうが勝っていた。
しばらくすると、相手は指を口に含み、今度は内側へ入れてきた。舌と指が同時に動くたび、鏡に映る自分の姿が目に入る。好きでもない中年の男に裸を見られ、体を好き勝手に扱われている。その事実が、ひどく生々しかった。
それなのに、ほんのわずかに体が反応した。恐怖だけではなく、説明しづらい熱が混じる。膝が小さく震え、思わず声が漏れた。そんな自分が嫌でたまらないのに、感覚は止まってくれなかった。
ベッドへ移ろうと言われ、私はバスタオルで軽く体を拭かれた。そのまま手を引かれて寝台に戻る。そこで相手は、69をしようと言った。
私は最初、その意味を知らないふりをした。けれど、相手は分かっているくせに、と笑う。私は本当に知らなかったのだが、説明されると、顔から火が出そうだった。結局、指示されるままの体勢になった。
私は相手の硬くなった部分を口に含み、先端を舌で刺激した。一方で、相手は私のほうを見ているだけで、なかなか触れてこない。触ってほしいのか、と問われても、素直に答えられるはずがなかった。
黙っていると、強い口調で名前を呼ばれた。怖くなって、私は言うべき文言をそのまま口にした。すると、ようやく相手は動き、舌を使ってきた。刺激が重なると、体がまた震えた。

私は射精させることに集中した。けれど、相手の刺激が強く、思うようにいかない。先走りのようなものが少し出ていて、あと少しだと感じるのに、なかなか決定打に届かない。焦りだけが募っていった。
そのうち相手は、そろそろ本番にしようかと言い出した。私は必死で、そこだけはやめてほしいと頼んだ。手と口で気持ちよくさせるから、と。
すると、相手の声が急に冷たくなる。
「じゃあ帰れよ。最終面接は不合格確定だな。写真もばらまく」
その一言で、空気が完全に変わった。誘いを断れば、入社は消える。写真や動画が広まれば、私の生活は壊れる。どちらも想像するだけで苦しかった。逃げたいのに、逃げ道がない。
「俺の誘いを断ったら、うちには入れないし、写真も出回る。それでいいの? 人生が終わるんじゃない?」
そう言われ、私は黙り込んだ。続けて、従えば合格に導き、写真も消すと告げられる。私はしばらく何も言えなかったが、恐怖から逃げたくて、ついに小さく頷いた。
「分かりました」と言うと、相手は言葉の意味を確認してきた。私は、セックスしてください、と言わされた。さらに、どこに入れてほしいのかまで、細かく言葉にさせられる。口に出した瞬間、自分でも驚くほどの熱が体の奥に走った。
相手は私の太ももを開かせ、そこへ体を寄せた。先端でなぞられ、膣口の周りをゆっくり擦られたあと、ついに押し当てられる。私はコンドームを求めたが、相手は生のほうが好きだと言って聞かなかった。生理の時期まで口にされ、私はそこで、面接のときに聞かれた理由を理解した。
実際には、その日が安全日ではなかった。だからこそ、恐怖は消えない。それでも、押し込まれそうになる力に逆らいきれず、肩を押して耐えた。けれど相手は腕をつかみ、体勢を崩して、無理やり中へ入れてきた。
その瞬間の感触は、今も鮮明に残っている。少しずつ広げられ、形を覚えさせられていくような感覚だった。私は顔をそむけたが、鏡のある天井には、相手が覆いかぶさって腰を動かす姿が映っていた。
泣くのが悔しくて堪えていたのに、とうとう堪えきれなくなった。涙がこぼれ、嗚咽が漏れる。相手はそれを気にせず、声の出し方まで命じてきた。さらに上体を起こして、敏感な場所を刺激する。体が勝手に反応してしまうのが、本当に嫌だった。
やがて相手はもう一度身を預け、キスをしながら動きを速めた。口も体も、同時に侵されていく感覚だった。私はもう、自分が自分でないような気持ちになっていた。屈辱なのに、なぜかそこに熱が混ざる。その矛盾が、さらに私を混乱させた。
「そろそろ出すぞ。どこに出してほしい?」
私は外に出してほしいと答えた。けれど、相手は中だと言い切る。最初は絶対に避けたいと思っていたのに、今では、拒みたい気持ちと別の熱がせめぎ合っていた。私はついに、奥で出してほしいと口にしてしまう。
その言葉を言ったとき、今まで感じたことのない興奮が胸を突き抜けた。自分でも、それが明らかに性的な高まりだと分かった。相手はさらにキスを重ね、動きを速めた。もうすぐ終わると、体が知らせていた。
私は自分から脚を絡めた。相手が奥へ押しつけるように動いたあと、ついに膣内で射精された。初めての体験だった。最初は絶対に嫌だったはずなのに、最後にはその行為自体が強い刺激になっていた。
射精のあともしばらくキスは続いた。やがて相手はスマホを手に取り、私のあそこを撮り始めた。精液が垂れる様子が好きだと言って、何枚も撮影していたが、私はもう強く拒めなかった。最初は削除してほしいと願っていたのに、途中からはどうでもよくなっていた。
むしろ、流出したらどうなるのだろうと考えると、妙な熱が戻ってくる。自分でも扱いきれない感情だった。
その後は、口で綺麗にするように言われたので従った。風呂へ入り、服を着替えるころには、さっきまでの高ぶりは落ち着いていた。けれど、不快感は不思議と薄れていた。
部屋に戻ると、今度は最終面接の対策が始まった。副社長の人柄、想定される質問、答え方、予想外の質問が来たときの切り返しまで、かなり細かく教えられた。あの時間がなければ、本当に受かっていたか分からない。
そして、その二日後に最終面接が行われた。翌日には、内々定の連絡が来た。電話をかけてきたのは人事部長ではなく、別の女性の人事担当だった。受話器越しにその言葉を聞いた瞬間、私は本気で嬉しかった。
性行為を強要されたことへの嫌悪は消えない。それでも、内定が取れたことに安堵してしまったのも事実だった。就活が失敗に終わらずに済んだ。その一点だけで、私はしばらく何も考えられなかった。
ただ、あの人事部長との関係はそこで終わらなかった。入社するまでの間も、入社してからも、しばらく続いていく。ここではまだ語り尽くせない。その先の話は、また別の機会に書くことになる。
注意点・失敗例
この手の脅しは、相手が「合否」「写真」「人脈」を握っているように見せることで成立しやすくなります。ひとたび個別の連絡先で呼び出されると、場の空気は一気に閉じられます。だからこそ、就活中に個人携帯へ不自然な連絡が来た時点で、記録を残しておくことが大きな意味を持ちます。
また、相手の要求に一度でも応じると、次の要求がさらに強くなることがあります。断りきれなかった自分を責めるより、どうやって外部に助けを求めるかを先に考えるほうが現実的です。ひとりで抱えるほど、相手の支配は長引きます。
もうひとつ、内定や選考通過をちらつかせる言葉だけで判断しないことです。採用の権限を持つように見えても、実際には一部の人間が勝手に振る舞っているだけの場合があります。会社全体の正式な窓口に確認し、メールやチャットなど証跡が残る形でやり取りするほうが安全です。
参考情報
- 厚生労働省「職場におけるハラスメント対策」
- 厚生労働省「個別労働紛争解決制度」
- 法務省「人権擁護機関」
よくある質問
- 就活中に個人携帯へ連絡が来たら、必ず応じるべきですか?
- いいえ。応募先の正式な連絡手段が別にあるなら、まずはメールや採用窓口で確認するのが安全です。特に面接官個人の番号から私的な誘いが来た場合は、記録を残しておきましょう。
- 脅されて断れなかった場合、何を残せばいいですか?
- 通話履歴、メッセージ、日時、場所、発言内容をできるだけ具体的に残してください。音声や画面の保存ができるなら、それも有効です。
- 内定をちらつかせて性的要求をするのは、会社の正式な判断ですか?
- 通常は違います。採用権限を持つ人の私的な逸脱である可能性が高く、会社本体の正式な方針とは切り分けて考える必要があります。
- 安全性や法的な面で、こうした被害は放置してよいですか?
- 放置しないほうがよいです。脅迫、強要、撮影の扱いによっては法的問題が生じるため、早めに第三者や公的窓口へ相談するのが現実的です。
- 状況別に、最初に取る行動は変わりますか?
- はい。まだ会っていない段階なら通話やメッセージを保存し、会ってしまった後なら日時と場所を整理して相談先へ持ち込みます。すでに写真や動画があるなら、削除要求だけでなく拡散防止の相談も必要です。
まとめ
- 二次面接後の連絡から、脅しは段階的に強まっていった
- 内定を材料にした支配は、逃げにくい状況を作り出した
- 同種の被害では、証拠を残し、早めに外部へ相談する動きが欠かせない